LINA BO BARDI: THE POETRY OF CONCRETE by Lina Bo Bardi
ブラジルの歴史において最も重要な建築家の一人であるイタリア人建築家、リナ・ボ・バルディ(Lina Bo Bardi)の作品集。ベルリンの「チョーバン財団建築ドローイング美術館(Tchoban Foundation Museum for Architectural Drawing)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
本展では作者のドローイング作品40点が展覧されており、ヨーロッパでこのように一堂に会するのは初の試みであった。作品は、「サンパウロ美術館(Museu de Arte de São Paulo)」創設者・ディレクターであった作者の夫ピエトロ・マリア・バルディ(Pietro Maria Bardi)と共に作者が作った機関「Instituto Bardi」の所蔵品であり、作者の自邸である「ガラスの家(Casa de Vidro)」をはじめ、「Solar do Unhão」、「サンパウロ美術館」、「テアトロ・オフィシナ(Teatro Oficina)」、「セスキ・ポンペイヤ文化センター(SESC Pompeia)」「Casa do Benin(カサ・ド・ベニン)」など6つの実現したプロジェクトのスケッチやデザイン画である。
展覧会と本書には、ドローイングだけでなく写真も収録しており、過去数十年にわたり作者と建築におけるモダニズムの研究に尽くしてきたヴェロニカ・ケルンドルファー(Veronika Kellndorfer)によって撮影されたものである。
作者は、詩的で遊び心溢れるカジュアルなスタイルをもって、建築物を総合的な芸術作品として捉える独自の視点をドローイングで描き、そこに自身のアイデアを落とし込んだ。ガラスやコンクリートといった革新的な建築資材をしばしば用いており、この二つは構造的に対照的であるにもかかわらず、作者の手にかかると印象的な調和を作品の中に生み、ブラジル・モダニズムにおいて不可欠な組み合わせとして確立した。