UNE SECONDE D'ÉTERNITÉ

ドイツを拠点に活動するアーティスト、ミハリス・ピヒラー(Michalis Pichler)の作品集。2016年12月から2017年12月にミラノの「クンストフェライン(Kunstverein)」で開催された展覧会「Exposition littéraire autour de Mallarmé」に伴い刊行された。

このパラパラ漫画形式の一冊は、マルセル・ブロータス(Marcel Broodthaers)の映像作品「シャルル・ボードレールの思想による永遠の一秒Une Seconde d'Éternité d'après une idée de Charles Baudelaire / A Second of Eternity According to an Idea of Charles Baudelaire)」(1970年)およびそれを元に作られた同名作品集を再構成したものである。

マルセル・ブロータスは、35mmフィルムの24コマに自身のイニシャルである「MB」を書き、19世紀の詩人、シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire)の創造性とナルシシズムの思想を映画の時代にアップデートした。24コマ(1秒)のフィルムに自分のサインの筆跡をなぞり、イメージを変えたり操作したりするたびにカメラのシャッターを切り、アニメーションを用いてこの映像作品を最終的に16mmフィルムで制作した。通常、サインは作品の完成度や信頼性を保証するものであるが、ここではサインが添えられるはずの作品の不在がサインを際立たせ、マルセル・ブロータスはサインの持つ意味を軽快に扱っている。

作家によるサインは、芸術家であれ、映画監督であれ、詩人であれ、すべての芸術家が自分自身を守るために確立しようと試みる嘘のシステムの始まりであるように私には見える。私にとっては何に対して正確なものとしてあるのか分からないが。ー マルセル・ブロータス

作者は本作において、マルセル・ブロータスとまったく同じコマを8ミリフィルムに転写し、18コマで構成された1秒作品を制作した。文字は、マルセル・ブロータスの筆跡を真似た形で自身のイニシャルを用い「M.P」と書いている。

by Michalis Pichler

REGULAR PRICE ¥3,080  (tax incl.)

ISBN: 9788890868177

softcover
58 pages
121 x 70 mm   
black and white
2016

published by KUNSTVEREIN PUBLISHING MILANO