SITTING IN A ROOM by Rachel Harrison
アメリカ人アーティスト、レイチェル・ハリソン(Rachel Harrison)の作品集。2022年9月から2023年2月にかけてオスロの「アストルップ・ファーンリ現代美術館(Astrup Fearnley Museet)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
「コンテンポラリー・アートにおいて、作者の作品は最も刺激的かつ最も飲み込み難いものである。あるいは、最も重要なものでもあるかもしれない」ーピーター・シュエルダール(Peter Schjeldahl) /「The New Yorker」誌
本書は、作られた、あるいは掘り出された品々へ浸透的でハイブリッドなアプローチを行う作者の最近の作品に焦点を当てた一冊である。彫刻やドローイング、写真、絵画など多様なメディアにまたがる作者の軽快かつ重層的な手法は、安易な分類に留まらない。俗な表現を用いて発揮された抽象性が、耳障りかつほぼコミカルな効果を生み、形式論的な思考を外界の荒くれた要素と戦わせているのである。
本作は実験音楽の代表的作曲家であるアルヴィン・ルシエ(Alvin Lucier)の独創的な音楽作品からその名を引用し、各ギャラリールームをとある一室としてみなした本展の特徴的な形式がそのまま記録されている。スカルプチャー・コートからタウン・スクエア(広場)、ジム、リビング・ルーム、キャビネットまで、本展示は鑑賞者を私的ないし公的な文脈へと招き入れ、本作のために執筆されたオリジナルエッセイ群がそれらの道筋を拡張し、同時に掘り下げていく。作者との密な協力のもと、デザイナーのジョセフ・ローガン(Joseph Logan)が装丁を担当、イメージを豊富に盛り込み、展覧会におけるの作者本人が撮影した写真を収録し、本展とその後も長く残ることとなるカタログの制作に対し作者独自のアプローチを反映している。
テキストは、編集者であり作家、キュレーターのネガー・アジミ(Negar Azimi)、同じくキュレーターのアンヌ・ドレッソン(Anne Dressen)、ラース・バング・ラーセン(Lars Bang Larsen)、ソルヴェイグ・エヴステべ(Solveig Øvstebø)が手がける。