EILEEN GRAY, DESIGNER AND ARCHITECT by Eileen Gray
アイルランド出身のプロダクトデザイナーであり建築家のアイリーン・グレイ(Eileen Gray)の作品集。類まれな才能を持っていたにもかかわらず、長い間歴史の影に隠れてきたその人生と作品を紹介する一冊。オランダ人グラフィックデザイナーのイルマ・ボーム(Irma Boom)が手がけた美しい装丁で綴じられている。
デザイナー、建築家として多彩な才能を発揮した作者は、生涯を通じて文壇や美術界の様々な著名人と交流を重ねた。本書は、デザイナー、建築家、画家、写真家としてのキャリアを年代順に追っていく。新たな研究の成果に加え、当時の写真と新しく撮影した図版をふんだんに盛り込み、50点以上のデザイン、建築作品を詳細に分析したエッセイを収録。
アイルランドに生まれた作者は、ロンドンで学んだ後パリに渡り、テキスタイルスタジオを設立。この時期に学んだ日本の漆工芸がデザイナーとしての仕事の要となった。またギャラリー兼店舗である「Jean Désert」を所有し、ディレクターとしても活躍。それでも、主に独学で学んできた「女性」である作者は、男性が支配する業界で認められるために苦闘を強いられた。
現在は家具、照明、カーペットで知られる作者だが、個人的にも社会的にも意義深い建築、インテリアプロジェクトを多数手掛けている。ジャン・バドウィッチ(Jean Badovici)と一緒にデザインした作者の代表作であるモダン住宅「ヴィラ E-1027(Villa E 1027)」や、経済的で解体もできる「キャンピング・テント(Camping Tent)」などのもそうしたものの1つである。
パリ装飾芸術美術館のアールヌーボー、アールデコ、現代デザインのキュレーターのクロエ・ピトー(Cloé Pitiot)と、ニューヨークの「Bard Graduate Center(BGC)」ディレクターのニーナ・ストリッツラー=レヴァイン(Nina Stritzler-Levine)による共著。