THE TRUE ARTIST by Bruce Nauman
アメリカ人アーティスト、ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の作品集。作者の作品を最も包括的に紹介する一冊。
現代アーティストの中で最も先進的で挑発的、かつ影響力のある作家の1人である作者は、アーティストの役目を常に問いながら、先駆的な彫刻、パフォーマンス、音響、映像、インスタレーションの探求を続けることで新境地を拓き、数々の芸術家をインスパイアしてきた。
卒業後、スタジオで何をするべきなのかという問いに直面し、作者は「自分がアーティストでありスタジオにいるのであれば、自分がスタジオで何をしようとそれはアートではないであろうか」というシンプルかつ奥深い気づきにたどり着いた。この時点で、少しずつアートは成果物ではなく、一つのアクティビティと化した。作者と、個性溢れる作品を作る場との関係性を突き詰めることで、本書は作者が青年時代を過ごしたインディアナ州のフォートウェインにまず立ち帰り、カリフォルニア大学デービス校での卒業制作から現在までの軌跡を辿る。作者の表現の手段と源の継続的な追求は自身の多種多様なメディア(写真、パフォーマンス、彫刻、インスタレーション、映像、ネオンサイン、音響)の実験へと繋がり、さらに言葉とイメージの関係性をも探る。作者が世界で最も称賛されるべきアーティストとされるのは、2006年に「Artfacts.net」で世界一という評価を得たことや、2009年のベネチア・ビエンナーレのアメリカ館を代表する唯一のアメリカ人作家だったことに由来する。
『Newsweek』のアート批評家としてよく知られるピーター・プラーゲンス(Peter Plagens)と作者は40年以上もの間親しい仲であり、プラーゲンスは本書を「作者の作品の本質に迫ろうとしている」と説明する。カリフォルニア州のパサデナにお互いがワンブロックほどの距離にスタジオを持っていた1970年に初めて出会い、毎週日曜日に一緒にバスケをする仲であったそうだ。プラーゲンスはその時から友人のアートを理解しようと励み、本書では、ニューメキシコ州ガリステオにある作者のスタジオでの作品制作の様子や、展覧会の企画、設置、レセプションの様子など、プラーゲンスならではの鋭い視点で紹介する。作品を紐解くべく編み出した独自の試みを用いて、プラーゲンスは作者に精通した興味をそそるガイドとなる。更に、現代美術におけるキーパーソンにまつわる、鮮明で、パーソナルで、啓発的な解釈を読者に提供する談話も収録する。