ALL IS POSSIBLE by Ruth Asawa
アメリカ人彫刻家でありアーティストのルース・アサワ(Ruth Asawa)による作品集。2021年11月から12月にかけてニューヨークのギャラリー「David Zwirner」で開催された展覧会に伴い刊行された。本書は、作者のユニークなヴィジョンと親密な主題を讃えた一冊として仕上がっており、代表的なループ状のワイヤー彫刻とともに、過去ほぼ公開されてきていない作品群を紹介する。
緻密であり独特な芸術言語で知られる作者は、シンプルなジェスチャーを繰り返しながら、複雑な構成を積み重ねる彫刻、ドローイング、版画を多数制作してきた。紙の作品や、ループ状のワイヤーを使った「連続的」な彫刻は、ポジティブとネガティブなフォルムが揺れ動く場を示唆し、私たちが世界をどのように認識しているかを再構築する手段となっている。家族や友人、隣人の顔をかたどった陶器の鋳型、作者とその家族が自宅に作った彫刻入りの玄関ドア、子供や孫、夫の寝顔などのドローイング。個人的なモチーフが随所に登場し、これまでで最も包括的に作者の作品を見ることができ、その生涯が幅広く紹介されている。
アメリカ人キュレーターのヘレン・モールスワース(Helen Molesworth)が企画した展覧会の記録とでして刊行された本書は、作者の作品群から64点を選び、作家やキュレーターによる新しい洞察を提供しながら、本展をさらに詳しく掘り下げている。モールスワースのエッセイに加え、アメリカ人キュレーターのマケダ・ベスト(Makeda Best)、アメリカ人ヴィジュアルアーティストのテイラー・デイヴィス(Taylor Davis)、アメリカ人キュレーターのルース・エリクソン(Ruth Erickson)、美術史家、評論家、キュレーターであるブリオニー・ファー(Briony Fer)、アメリカ人美術史家のジェニファー・L・ロバーツ(Jennifer L. Roberts)、アメリカ人詩人、美術批評家、キュレーターであるジョン・ヤウ(John Yau)によるテキストが収録されている。
記事:ルース・アサワ – 線が彫刻になるとき(TOKION)