AUTOBIOGRAPHY N.10 by Ignasi Aballí
イタリアの出版社「TONINI EDITORE」が、毎月一人のアーティストにフィーチャーし発行するシリーズ、『AUTOBIOGRAPHY』の第10号。デザイン、ページ数が統一された中でアーティストたちは自伝的なテーマをテキストあるいはイメージによって表現している。
第10号は、バルセロナを拠点に活動するスペイン人アーティストのイグナシ・アバリ(Ignasi Aballí)。作者は、絵画、写真、映像など、伝統に即した絵画的活動を覆し、芸術制作における新しい、または非伝統的な方法を探求している。作者は、2022年の「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」においてスペイン館で出展した。作者は、太陽光や埃を使用して絵を描くことで、作家の手を制作過程から排除し、絵画とフォトグラムの境界を曖昧にしたことで知られている。その他の作品には、統計やマントラを一見無作為に集積したシリーズ「Lists」や、ペンキとプライマー塗装の入ったポットを並べたインスタレーション作品「Waste」などが挙げられる。「Waste」については、「どうしようかと考えているうちに絵の具が乾いてしまった」と説明しており、作者の活動を行き渡る不遜で冗談めいた感覚を実証していると言えよう。
本作は、64ページ分の「アニョス(años / スペイン語で「年齢」)で構成されている。1958年生まれの作者は、本作の出版当時、「64」歳だった。
各号のアーティストの選定は、コレクターであり「coleção moraes-barbosa」を主催するペドロ・バルボーザ(Pedro Barbosa)、美術史家のアレックス・ベーコン(Alex Bacon)、ギャラリー「Studio Guenzani」を主宰するクラウディオ・グエンザーニ(Claudio Guenzani)、アーティストであり作曲家、タイポグラファーのミシェル・ロンバルデリ(Michele Lombardelli)、作家であり研究者、インドの「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ」の発起人でもあるシュウェタル・アシュヴィン・パテル(Shwetal Ashvin Patel)、コレクターであり学者のクリストフ・シファーリー(Christoph Schifferli)、「homonymous publishing house」のディレクター、ヴァレンティノ・トニーニ(Valentino Tonini)が務める。