AUTOBIOGRAPHY N.9 by Thomas Hirschhorn

イタリアの出版社「TONINI EDITORE」が、毎月一人のアーティストにフィーチャーし発行するシリーズ、『AUTOBIOGRAPHY』の第9号。デザイン、ページ数が統一された中でアーティストたちは自伝的なテーマをテキストあるいはイメージによって表現している。

第9号は、スイス人アーティストのトーマス・ヒルシュホルン(Thomas Hirschhorn)。作者は、1980年代にパリのデザインコレクティブ「Grapus(グラピュス)」のメンバーとして活動をはじめ、1999年以降、70以上の公共空間に大規模なインスタレーション作品を発表してきた。これらの作品は、日用品やプラスチックシート、段ボール、アルミニウム、梱包用テープ、雑誌のイメージといったファウンド素材を用いることで、ディストピアのリアリティを作り出している。制作過程が可視化された形で残る作品は、民主主義を成立するための個人と集団の闘いのメタファーとして在る。2002年に国際芸術祭「ドクメンタ11(Documenta 11)」で発表された代表作「バタイユ・モニュメント(Bataille Monument)」を含む、4部構成の「モニュメント」シリーズは、レクチャーやワークショップ、演劇、アート教室といった参加型イベントの形でその主題に関する詳細を発表した。これらのプロジェクトは、「非排他的な大衆」を対象に、「緊急性、傾聴、対立、考察、抵抗、友情」を生み出すことを目的としていたと作者は説明している。

本作は、厳選されたイメージを通して、作者の人生とキャリアを物語るヴィジュアル自伝記として仕上げられている。

各号のアーティストの選定は、コレクターであり「coleção moraes-barbosa」を主催するペドロ・バルボーザ(Pedro Barbosa)、美術史家のアレックス・ベーコン(Alex Bacon)、ギャラリー「Studio Guenzani」を主宰するクラウディオ・グエンザーニ(Claudio Guenzani)、アーティストであり作曲家、タイポグラファーのミシェル・ロンバルデリ(Michele Lombardelli)、作家であり研究者、インドの「コーチ=ムジリス・ビエンナーレ」の発起人でもあるシュウェタル・アシュヴィン・パテル(Shwetal Ashvin Patel)、コレクターであり学者のクリストフ・シファーリー(Christoph Schifferli)、「homonymous publishing house」のディレクター、ヴァレンティノ・トニーニ(Valentino Tonini)が務める。

by AUTOBIOGRAPHY , Grapus , Thomas Hirschhorn

REGULAR PRICE ¥3,300  (tax incl.)

softcover
64 pages
120 x 170 mm
color, black and white
limited edition of 500 copies
2022

published by TONINI EDITORE