PARAVENTI - FOLDING SCREENS FROM THE 17TH TO 21ST CENTURIES
17世紀から21世紀の間に制作された屏風を紹介する作品集。タイトル『PARAVENTI』はフランス語で「屏風」を意味する。2023年10月から2024年2月まで、「ミラノプラダ財団美術館(Fondazione Prada Milano)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
本書は、装飾的に作られた美しい屏風を多数収録し、東洋と西洋が互いに交わり合う軌跡を辿ることで、屏風という形式の歴史と意味を探る。屏風は、文字通りにも比喩的な意味でも、「敷居」として存在する概念や、儀式的な境界(とその曖昧さ)を、そこに設置された状態をもって体現している。そして、異なる空間、分野、文化、世界の垣根を越えていく。この考え方を起点として、さまざまな芸術表現の形や機能がハイブリッド化していく流れ、デザイナーとアーティストがコラボレーションを行うプロセス、そして新たに作品が生み出される過程を追う。
本書には、国際的に名が知られた美術館や個人コレクションに収蔵されている、歴史上貴重とされる作品や近年手がけられた作品、さらに本プロジェクトのために15人以上のアーティスト陣が制作した新作を含む、70点以上の屏風が掲載されている。
「ミラノプラダ財団美術館」での展覧会と並行して、同時期に上海の「プラダ榮宅 (Prada Rong Zhai)」および「プラダ青山店(Prada Tokyo Aoyama)」でも関連展覧会が開催された。上海では17世紀から18世紀に制作された中国古来の屏風作品2点に加え、トニー・コークス(Tony Cokes)、ジョン・スティザカー(John Stezaker)、リー・シュアン(Shuang Li)、ウー・ツァン(Wu Tsang)、ツァオ・フェイ(Cao Fei)らによる新作を展示。青山では田名網敬一が手がけた新作屏風作品に加え、1930年代と戦後において人気が高かった紙芝居や歌舞伎の小道具として用いられた屏風の発展に触れながら、16世紀に制作された式部輝忠の「梅竹叭々鳥図屏風」(六曲一隻、室町時代)も紹介する。「スクリーン」的な存在の性質に、現代における我々のデジタル体験が与えてきた影響に焦点を当て、これまでそのような分野を探ってきた作家陣に制作を依頼している。
イタリア語、英語併記。